2017/09/28
高級レストランやホテルなどで食事を注文する際に、料理に合った飲み物などを提案してくれるウェイターのような人を見かけることがあります。彼らは「ソムリエ」と呼ばれる、ワインのエキスパート。料理に合ったワインやお客様の要望に合った飲み物、料理を提案するソムリエは、何となくイメージは分かっているけど、どんな業務をしているかは知らないことも多いです。単純にワインのことだけを考えてなれる職業なのか、ソムリエにはどうすればなれるのか、詳しくご紹介します。
ソムリエと言うのは、ホテルやレストランなどお客様の好みや料理に合ったワインを提案し、それらワインを管理する仕事です。お店に置いてあるワインを適切な状態で保存するよう管理する繊細な業務であり、お客様の要望に合わせて飲み物だけでなく料理に関する助言も行うため、多くの専門的な知識を持ち合わせています。
「ソムリエ=ワイン専門」のイメージがあるため、単にワインのことだけを知っていればいいと思いがちですが、お客様にワインを提供するまでが仕事になるので、商品の入荷や保管、品質管理だけでなく、ワインの品種や産地、さらにはワイン以外の飲み物や料理全般における幅広い知識を必要とします。また、お客様に提供するにあたってのテーブルマナーや接客マナーも欠かせません。ちなみに、女性の場合はソムリエではなく「ソムリエール」と呼ばれます。
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では、ソムリエになるには、どうしたら良いのでしょうか。フランスでは国家資格となっていますが、日本ではソムリエに国家資格はありません。しかし、日本には『日本ソムリエ協会(JSA)』と『全日本ソムリエ連盟(ANSA)』の2つ団体が認定する民間資格があります。どちらもソムリエ資格を取得できますが、実務経験が必要で講習のないJSA、実務経験は必要なく受験前に講習が行なわれるANSAなど、それぞれに違いがあります。また、試験範囲もJSAはフランスやドイツなど「オールドワールド」と言われる昔から作っている国のワインについての問題が多く、ANSAは逆にオーストラリアやチリのような「ニューワールド」を含む世界中のワイン問題が出されます。
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日本ソムリエ協会は、メディアにも度々登場するソムリエの田崎真也さんが副会長を務める認定機関で、飲食店でも認知度の高い資格の認定元といえます。もちろん、誰しもが受験できるわけではないのがソムリエ資格。それぞれの受験資格は、どうなっているのでしょうか。
ソムリエになるための基本的な資格である「ソムリエ資格」は、以下の業務を通算3年以上経験し、第一次資格試験日の時点でも従事している者が受験資格を持ち、試験に合格した人が資格を得ることができます。
日本ソムリエ協会が認定するJSAソムリエ及びJSAワインアドバイザーであること、ソムリエもしくはワインアドバイザーの資格認定後3年目を迎える人、または以下の業務を通算10年以上経験し、第一次試験日の時点でも従事している者が対象。
「ワインエキスパート」とは、ワインを中心とした酒類、飲料、食全般の専門的な知識やテイスティングの能力を持っている人のことを言います。ソムリエと違いプロ資格ではないので、職業は問わずどちらかというとワイン愛好家などが対象となっています。日本において、J.S.Aがワインエキスパートに求められる能力を持っていると認められた方に対して、資格を認定しています。ソムリエのように実務経験は不要ですが、シニアワインエキスパートを取得するにはワインエキスパート認定後5年目を迎えた30歳以上の人というのが条件となっています。
関連サイト:一般社団法人 日本ソムリエ協会
日本ソムリエ協会が経験者を対象とした資格認定を行っているのに対し、こちらは実務経験などが不要のため、講習などを通じて「ソムリエ」としてふさわしい水準を目指して育成するカリキュラムが組まれています。
全日本ソムリエ連盟(ANSA)では、申込み時に呼称資格名を選択でき「ソムリエ/ワインコーディネーター」を選択することができます。知識を詰め込む講習ではなく、トレーニングを重視した独自のカリキュラムを導入して育成に力を注いでいます。基本的に受験資格は、申込み時点で満20歳を過ぎていれば受験が可能となっています。
関連サイト:全日本ソムリエ連盟
この十数年の間に日本にも様々なワインブームを受けて、一般的にワインが広まってきました。ソムリエの世界でも日本人の活躍は目覚ましく、国内のみならず世界的にも有名な日本人ソムリエが誕生するようになりました。今回は、日本を代表する3名をご紹介します。
言わずと知れた日本で一番知られているソムリエである田崎眞也さんは、1995年に東京で開催された「世界最優秀ソムリエコンクール」にてフランス人以外で初めて最優秀ソムリエに選ばれた方。数多くのテレビ出演や著書などを出版し、現在は日本ソムリエ協会の会長にも就いている傍ら、レストラン経営や自身のワインスクールを開校するなどソムリエを目指す人たちへの育成にも力を注いでいます。
ソムリエ界の大御所とも言われる、元日本ソムリエ連盟会長である勝山研二さんは、赤坂プリンスホテルにて飲料部長およびシェフソムリエを兼任し、有名レストランでもシェフソムリエとして従事されてきた方です。JSA認定のマスターソムリエの他、ボルドー・ボンタン利酒騎士団コマンドール、ブルゴーニュワイン利酒騎士団シュヴァリエ、ドイツ・ラインラントファルツ州認定名誉ソムリエなど、数多くの称号を保持しています。
現在、コンラッド東京のエグゼクティブソムリエとして、全てのワイン関連の業務を統括している、森覚(さとる)さんは、2010年に30歳の若さで世界最優秀ソムリエコンクールの日本代表に選ばれた方。以降、連続して2013年、2016年と代表出場しており、2016年のコンクールでは58ヶ国61名の参加者のうち8位入賞するなど輝かしい成績を残しています。日本ソムリエ協会の常任理事、技術研究部長も務める森さんは、これからの日本のソムリエ界を牽引していく一方で、後進の育成にも積極的に取り組まれています。
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ソムリエの仕事で一番重要なのは、お客様に最高の食事シーンを提供することです。そのために、適切な温度でワインを管理し、お客様の要望にあった料理やワインを提案することで快適な空間を提供することが出来るのです。技術や知識を披露するのではなく、いかにお客様が快適に過ごせるか、それを考えながら地道な経験を積むことで、やりがいも見えてくるのではないでしょうか。
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