2018/03/27
イタリア料理店で働く際、聞きなれない単語が多くて戸惑ったことはありませんか? 英語に比べて、イタリア語は日常的に聞く機会が少なく、さらに飲食店の専門用語となると、始めは困惑してしまうことも多いでしょう。イタリア料理店で働きたいと考えている方や、将来イタリアで修業したいと考えている人も、今のうちにイタリアの飲食店で使われる業界用語を知っておいて損はないのでは?今回は、イタリア料理店で働く際に役に立つ、業界用語をご紹介します!
一口にイタリア料理店といっても、その種類はさまざま。単純に「レストラン」というだけでなく、お店の格式やタイプによって、その呼び名は変わるのです。最近街でも見かける『ビストロ』は、フランスで使われる一般的な食堂などに使われる呼び名。格付け順だと『グランドメゾン→ビストロ→ブラッセリー→カフェ』という順番で使われます。本場フランスへ行った際などは、チェックしてみると面白いかもしれません。
そしてイタリアでも同じように、呼び方がいくつも分かれています。格付けが高い順にご紹介します。
いわゆるレストランです。フランスの『グランドメゾン』と同じように、ドレスコードを求められるような高級店、またはやや高級なお店のことを指します。
日本でもイタリア料理店と言えばこの名称!となるくらい、よく見かける『トラットリア』は、カジュアルな格好でも入ることが出来る大衆食堂のようなところのこと。
あまり聞くことの少ない『オステリア』は、お酒もご飯も楽しめるカジュアルな飲食店のこと。トラットリアとそう変わりはないですが、比較的居酒屋に近い雰囲気がコチラになるかと思います。
日本で言う立ち飲み屋のように、ラフな感じで気軽に入れる居酒屋は『バール』と呼ばれ、軽食やコーヒーなどを楽しむお店を『カフェ』と呼びます。
このように名称は分かれているものの、実際の格がその通りかというと、そうではありません。トラットリアでも高級なお店があれば、リストランテと付いていても庶民的なお店もあります。他にもフランスと同じく『ビストロ』と付いた店もあったり、ピッツァ専門店として『ピッツェアリア』という店もあったりと、名称だけではその格が決まることはないようです。あくまでもお店を調べる際の目安として、考えていただけるとよいかと思います。
リストランテやトラットリアなど、コース料理を出すお店で働く場合は、基本的なコースの順番やその名称をしっかり覚えておく必要があります。従業員同士では、イタリア語でやり取りされることがほとんどなので、イタリア語と一緒に覚えておきましょう。
食事の前に出されるお酒のことで、この後に続く料理のために胃腸を刺激するのと、次の前菜の消化を助ける役割を担います。主にスパークリングワインや、果汁で割った軽い口当たりのカクテルなどが人気。
日本の居酒屋などでいうところの、付き出しのようなもの。食前酒と一緒に口にすることも多く、イタリア料理では、グリッシーニという細長いパンや、焼いたバゲットにニンニクとオリーブオイルを塗ったブルスケッタなどが出されます。
直訳すると、ラテン語で「料理の前に」という意味のとおり、メインが出る前に少しお腹に入れておく料理として出されます。そのため席についてすぐに出せるものが多く、そのほとんどが冷たく作り置きが出来る料理となっています。あくまでも、この料理で満腹にならない程度に提供することが重要。
前菜で多く使われるのは、ハムや野菜、ソーセージなど。アンティパストの中でも3種類に分かれ、提供されるメニューでも変わります。
前菜の後に出てくる1皿目の料理のこと。フランス料理では、ここでスープが出てきますが、イタリア料理ではスープを食べることは少ないので、パスタや、米(リゾット)などが主に提供されます。
このタイミングで、フランス料理で言うところのメインディッシュが出されます。魚料理のペッシェ(Pesce)や肉料理を指すカルネ(Carne)が提供されます。なお肉と魚の両方を出す場合は、先に魚料理から出されます。
いわゆる野菜の付け合わせです。セコンド・ピアットには、野菜が付け合わされていないことが多いので、もし野菜が欲しい場合は、このコントルノを注文します。ミニサラダや野菜を使った副菜全般を指します。
甘いという意味のドルチェの言葉通り、食後に食べる甘いデザートのことを指します。季節のフルーツや、日本でも人気のイタリアンジェラートにティラミス、種類の豊富なタルトなどが一般的。
全て食べ終わった後の胃を刺激して、消化を促す消化剤の役割をします。あえてアルコール度数の高いお酒を少しだけ飲むのがポイント。定番は、ぶどうの搾りかすを蒸留して作る「グラッパ」やレモンの皮から作ったリキュール「レモンチェッロ」などが、好んで飲まれます。
お酒の代わりにCaffè(カッフェ)、つまりコーヒーを飲むこともあります。イタリアでコーヒーというと、日本で見るようなアメリカンコーヒーではなく、エスプレッソを指します。他にもカプチーノも有名ではありますが、カプチーノは子どもの飲み物と言われるので、大人になればほとんどがエスプレッソでコースを締めます。
プリモとセコンドが合体したような料理で、日本でもよくあるイタリアンレストランで注文するのがこのスタイルと言えます。肉料理か魚料理だけを食べたり、パスタだけを食べたりするような形。パンにサラダ、ピアット・ウニコ、コーヒーとデザートという、日本でも馴染みのあるランチスタイルが、これに該当します。
「季節の・・・」という意味を持つ、スタジオーネは、その季節の旬の食材を使った料理がある場合、必ず書かれている名称。
つまりはチーズのこと。イタリアでも数多くの料理に使われたり、それだけでも食されることの多いチーズは、コース料理などではメインの料理後に、自分で食べたいチーズを選んで食べたりできます。
料理メニューの名前がわかったところで、次は厨房内での役割について調べてみましょう。
フランス料理でいうところの「Chef(シェフ)」の意味。料理長として、厨房全体を取り仕切るキッチンの最高責任者のことです。メニューの決定や食材の吟味、料理全体の構成をはじめ、スタッフの指導や食材の原価計算、在庫管理なども担当します。
また料理人のことは「Cuoco(クオーコ)」と呼ばれ、女性の料理人は「Cuoca(クオーカ)」と呼びます。
参考:イタリアンシェフになるためには?修行は必要?あの有名シェフの経歴もチェック!
冷たい前菜である、アンティパスト・フレッドを担当する料理人をこう呼びます。冷蔵庫や食材庫の管理をし、肉や魚など食材の下準備も行います。
手打ちパスタなどを作るほか、プリモ・ピアットがパスタ料理の場合は、そのまま調理をすることもあります。
イタリアを代表する料理である、ピザ専任の料理人です。生地作りから具のトッピングなど、あらゆるピザを作り提供します。イタリアと言うと、もちもちした食感のナポリピッツァか、クリスピー生地のローマピッツァなどが一般的です。
参考:世界に羽ばたくピッツァイオ―ロとは?イタリアンの職場に欠かせないピザ職人になる方法!
プリモ・ピアットを担当する料理人のことです。名前にある「アントル」は、フランス料理の「アントレ(前菜)」が語源となっているとのこと。プリモ・ピアットでは、主に炭水化物系の料理が出されるため、リゾットやパスタ(パスタイオがいない場合)などを作ります。
メイン料理である、セコンド・ピアットを担当する料理人を指します。肉を焼く意味のロステイからきていますが、イタリア料理のメインは、肉か魚となっているので、どちらも担当します。
ティラミスやジェラートなど、コースの締めとなる、各種デザートを担当します。ちなみに女性のデザート担当料理人のことは、パスティッチェーラ(Pasticciera)と呼ばれます。
参考:パティシエになるには?修行?学校?気になる仕事内容や給料まで徹底紹介!
では調理スタッフ以外に、ホールではどのような呼び方があるのでしょうか。
男性の給仕人のことを指します。女性はカメリエーラ(Cameriera)と呼ばれます。お客さまと直接対応する、いわばお店の顔といえる仕事です。丁寧な接客マナーだけでなく、イタリア料理とともに飲まれることの多い、ワインなどのお酒に関する知識も必要となってきます。
参考:ホールスタッフなら知っておこう!よく聞かれるワインの基礎知識と勉強法
料理長と同じように、頭に「カポ」が付きます。ホールスタッフの責任者として、カメリエーレへの指示だしや、テーブルごとにお客さまへの最適なサービスを提供します。接客サービスはもちろんのこと、スタッフの育成やマネジメントなど、さまざまな業務を行います。
実質的な店舗の最高責任者。店舗の営業計画や、売上目標の設定など、お店の経営を全体的に動かす人。サービスプランの考案やコース内容の修正・提案など、日々経営戦略を立てて実施していきます。
参考:飲食店店長を目指す方必見!把握しておきたい店長業務3つ
キッチンとホールを取りまとめる役職につく人のことを、こう呼びます。お店によっては、経営者が兼任していることもあります。経営者よりも現場に近い目線から、人件費や材料費など各種費用やお客様のリスト、衛生状況の管理など仕事はさまざま。
イタリア料理店で働く際に覚えておきたい専門用語をご紹介しました。ちょっとおしゃれで格式あるイタリア料理店に行くと、メニューにもイタリア語でこのように表記されていることが多いですよね。とはいえ、スタッフの呼称などは、聞きなれない単語の方が多かったのではないでしょうか。
自身の働くポジションが、ホール・キッチンのどちらであっても、今回ご紹介した専門用語は、業務を円滑に進めるために役立つと思います。この機会に、覚えてみてはいかがでしょうか。