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2018/01/19

新時代の料理「分子ガストロノミー」とは?

分子ガストロノミー料理

 みなさん「いくら」はお好きですか?プチプチ弾ける食感がたまらない「いくら」、お寿司の人気ネタでも常に上位をキープする、定番の食材です。今この「いくら」に、シェフからの注目が集まっているというのです。それは「いくら」のように丸く固まったメロンソーダ、カクテルなどを生み出す新時代の料理「分子ガストロノミー」という調理法の1つ。「分子ガストロノミー」とはなんなのか、どこで食べられるのかご紹介していきます。

「分子ガストロノミー」ってなに?

そもそも「分子ガストロノミー」とはどのようなものでしょうか?

「ガストロノミー」とはフランス語で“美食”という意味を持ちます。食材を構成している分子に着目し、温度や湿度による分子の結合が味に及ぼす影響を研究します。こうした研究は、分子美食学とも言われます。このような料理への科学的なアプローチは、1992年のイタリアから始まりました。そして世界で最も予約がとれないレストラン「エル・ブリ」を率いるフェラン・アドリア氏が「人の五感すべてに働きかけ、さらに、“人の脳をびっくりさせる”料理」として用いたことから、広く人々に知れわたりました。(店内の座席数45に対し、年間に200万件もの予約が殺到したという「エル・ブリ」ですが、残念なことに現在は閉店しています)

世界的に話題を呼んだ「分子ガストロノミー」には、どのような調理技法があるのでしょう。

エスプーマ

亜酸化窒素などバルブを使ったソーダ製造器具が元になっており、空気の力で、本来泡立たない食材も泡立てることができます。エスプーマで泡立てた氷で、ふわっふわのかき氷などが登場し大人気となりました。

液体窒素

分子ガストロノミーでは、-195℃の液体窒素も料理に用います。食材を急速冷凍し、通常では作れない形を作ったり、演出に活用したりと使い方もさまざま。カクテルやデザートの演出に使用する飲食店も多いです。

遠心分離

遠心分離機と聞くとDNAの解析利用などがありますが、アイスキャンデー作りに利用するのが分子ガストロノミーです。遠心分離機にかけた果肉は階層ごとに別れ、美しいコントラストの食品に生まれ変わります。

アルギン酸ナトリウム

アルギン酸ナトリウムは、主にワカメやコンブなどの海藻に含まれており、ねばねばの元となる食物繊維の1つです。このアルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムの水溶液を応用し、表面を固めていきます。こうすることで、メロンジュースやソース、オリーブオイルなどもカプセル状に加工することができます。

分子ガストロノミーを調べていくと、まるで化学の実験のような調理方法ですよね。分子や結合という単語が出てくると、一気に難しい印象がありますが、実は見たことのある食材にも分子ガストロノミーが使われています。それは人工いくら。アルギン酸ナトリウム水溶液を、塩化カルシウム水溶液に滴下するとゲル化する性質を利用して作られる人工いくらは、立派な分子ガストロノミー料理と言えます。

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色んなソースのいくらに、オリーブオイルパウダーなど、画期的で斬新な食品たち

「分子ガストロノミー」で生まれる料理とは、どのようなものなのでしょうか?独創的な料理の数々をご紹介します。

分子ガストロノミー料理
出典:http://www.molecularrecipes.com/molecular-gastronomy/

これはアルギン酸ナトリウムを使った料理です。一見すると、いくらのようにも見えますが、実はチリソース!分子ガストロノミーを使えば、ソースだけでなくジュースやお酒などの液体も、こうして丸い粒のような形にすることが可能です。口に入れれば、プチプチ弾けて中からは素材の風味が広がります。他にもニンジンなどの野菜や、バルサミコ酢などを使うこともあります。

オリーブオイルパウダー
出典:http://www.molecularrecipes.com/molecular-gastronomy/

続いてこれは何に見えますか?カッテージチーズなどの、乳製品に見えるという方がほとんどではないでしょうか。しかしこれは、オリーブオイルのパウダーなんです。どう見てもオリーブオイルの要素は全く見つかりませんよね。これはオリーブオイルと、炭酸飲料などを作る時に使われるマルトデキストリンと、塩を粉に代わるまで泡だてたものです。パンにのせたり、トマトやモッツァレラチーズと一緒に食べたりと、幅広く使えます。

このように食品がもつ栄養価や美しさを損ねることなく、食感を変えることも可能な調理法です。今までとは全くことなる料理を可能にする研究が「分子ガストロノミー」です。食感や形を変えることができれば、料理のバリエーションはさらに増えます。また硬い食品を柔らかくすることができれば、噛む力が弱い人でも安心して食材を取り入れられます。

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都内で分子ガストロノミー料理を食べられる店

では実際に、分子ガストロノミーを使った料理を食べてみたいと思った方、東京都内で分子ガストロノミー料理を味わうことのできるお店をご紹介します。

タパスモラキュラーバー

世界でも有数のラグジュアリーホテルである、東京マンダリンオリエンタルホテル38階にある「タパスモラキュラーバー」。店名にある「モラキュラー」とは分子のこと。その店内は、カウンターに接した8席だけ。シェフが調理する分子ガストロノミー料理を、カウンター越しに見ながらの食事は、とても贅沢で貴重な体験です。海外の美食家たちからも評価は高く、1日2回、各回8名限定2時間のコースは予約必至です。コースの最初から最後まで、心ゆくまで分子ガストロノミーを堪能することができます。

セララバアド

代々木上原駅もより、閑静な住宅街にある「セララバアド」。分子ガストロノミーを世に知らしめた「エル・ブリ」で調理技法を磨いたシェフが在籍し「モダンガストロノミーを気軽に!」をコンセプトに、分子調理法を堪能することができます。北欧インテリアが癒し系の雰囲気を醸し出す店内では、カジュアルに分子ガストロノミー料理を楽しめます。ランチコースも注文することができますよ。

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まとめ

分子ガストロノミーとは何なのか、調理技法やレストランなどをご紹介しました。革新的な料理ジャンルといえる分子ガストロノミー。生まれてからの歴史はまだ短いですが、食事体験に科学的なアプローチを試みる調理方法は、今後の料理のありかたをさらに豊かにしてくれるのではないでしょうか。これらの技術は今後さらなる発展が予想され、中には私たちの食卓にも身近な存在になる食材も出てくるかもしれませんね。

今回の記事でご紹介したレストランでは、今まで味わってきた料理とはまた違った食事を体験することができます。また分子ガストロノミーを提供する店の中には、日本酒とのペアリングに注目した料理を出すところや、地産地消の食材にこだわった店など、それぞれの個性があらわれており、今後日本でどのように進化をしていくかにも注目が集まっています。

お寿司屋さんに、今までと違う未来の「いくら」が並ぶ日も近いかもしれませんね!


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