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2018/10/24

パティシエに求められるサービスの重要性について/コラム連載Vol2(山本 佳成氏)

3歳の誕生日ケーキ

 こんにちは。東京観光専門学校カフェサービス学科の山本です。
前回お話させて頂いたように、私たちの学校では、サービス力を持ったパティシエ、バリスタの育成を目指しています。
今回はパティシエに求められるサービスの重要性についてお話いたします。

>>前回の記事『人気のカフェ業界で即戦力として活躍するために「東京観光専門学校・カフェサービス学科」で学べる事』はこちら

お客様へ向けたパティシエのサービス力

お客様へ向けたパティシエのサービス力

 お客様へのサービスとは、注文して良かった。買って良かった。また来よう。と思ってもらえることだと思います。

 それはご購入いただく前から始まっていて、まずは絶対に不安にさせないようにすることを心がけなければいけません。

 最初に目に入る入口や店内の清潔感を保ち、見やすく華やかにショーケースを飾ることなどの店構えはもちろん、商品の一つひとつが同じように高品質で作らなければいけません。

 パティスリーの場合、カフェやレストランとは違い、お買い上げ頂いたケーキをお客様がいつどこで召し上がるのかそれぞれが異なります。作りっ放しではなく、持ち運びを考えた構成で作り、お渡しの際には、注意喚起や召し上がり方のご提案などをさせていただくことが大切です。

 逆にイートインスタイルのカフェやレストランでは、何をどんな状態で召し上がっていただきたいかを考え、お客様のテーブルへ一番良い状態のお皿を提供できる仕組みを作らなければいけません。

 また、どちらの場合でもお待たせしてしまっているお客様には、こまめにお声かけさせていただく配慮が必要になります。

 サービスはお客様の期待に応えて、ご満足いただくことで、等価を戴くわけですが、誕生日や記念日の注文などは特に、お客様にとってもそのケーキを囲む方々にとっても一度しかありませんから、作り手も特別な思いで作りたいところです。サービスよりも更に付加価値をもたらすホスピタリティと言える対応が必要となります。

 記念日に合わせたケーキのイメージを持ってお越しになるお客様がいらっしゃいます。この場合、デコレーションや色合いなど出来上がったケーキの表情は非常に重要となるわけですが、お客様によって作り手がイメージできない場合もあります。その際には記念日のシチュエーションや背景などをはじめ、ケーキの細かな箇所の説明や飾りのアイテムなどを提案し、お客様が求めているイメージを共有します。

 はじめてのお客様は「そんなこと聞くの?」という表情をされますが、会話を通して、次第に細かくお話していただけます。

 また、同じような注文で、会社などのロゴマークを入れてほしいという依頼はさらに配慮が必要になります。簡単に描けるようなマークにも様々なメッセージが込められていますので、色合いやバランスはもちろんのこと、メッセージ性を理解し描くようにしています。

 お客様はご購入前に出来上がりを確認できません。パティシエを信頼し、任せていただけるからこそ特別なケーキを作らなければいけません。

>>パティシエのお仕事情報はこちら

チョコレートの文字に込める想い

チョコレートの文字に込める想い

 パティシエの技術にパイピングというチョコレートやクリームでメッセージや模様を描くものがあります。文字だけ書くにしても、対象がお子様の場合は丸みのある可愛らしい文字で、大人の男性であれば、シャープに堂々と書きます。

 余談ですが、ママの誕生日ケーキを4~5歳の男の子とパパが買いに来て下さいました。小さな紙に「まま おでとう」と、覚えたばかりの子供らしい字で書いて来てくれて、「これお願いします!」とご注文されました。

 少し考えましたが、その時は転写シートを使って、「まま おでとう」と上から写し、チョコレートのプレートに書き写しました。

 ご確認頂いた時の「見て! お前が書いた字のままじゃん!」と男の子に見せるパパと、「わー、やったー!」と喜ぶ男の子の反応は今でも忘れられません。

 通常通りに「ママ お誕生日おめでとう」や「HAPPY BIRTHDAY」などと書けば良かったのかもしれませんが、何故わざわざ小さな紙に書いて来てくれたのかを考えると、その子のママに対する想いが伝わって来て、そのようにさせていただきました。

 その後はパパの誕生日にもケーキを買いに来てくれましたし、イベント毎にご家族でお越し下さるようになりました。

 サービスとは必ずしも一定ではなく、正解も明確ではありません。求められるお客様の状況をどこまで考えられるかで、より良いサービスができ、商品価値を高めることができます。

仕事を進める上で、チーム内で発揮させるホスピタリティ

仕事を進める上で、チーム内で発揮させるホスピタリティ

 お買い求めいただく全てのお客様へ同じようにご満足いただくサービスを提供するためには、製造が主な仕事となるパティスリーにおいて、ひとりでは到底不可能です。しかしチームとしてお互いが動くことで、できることは増えていきます。

 単に洗い物でも自分が洗いたい道具から洗うのではく、工程上で先に使う物から洗っておいたり、材料の計量も同じ材料ならば一緒に計っておいたり、互いに次の人が何をするかを考えて進めて行くことで、製造スピードは上がります。

 基本的に分担作業の多い職場なので、自分の任された仕事は次の工程の人が待っています。その次の人もその次の人が待っていて、その先にはお客様が待っているということになります。ただ急ぐのではなく、美味しくて良い状態で出せるようにチームとして一人ひとりがお互いスムーズに進められるように配慮することがお客様へのサービスへと繋がって行きます。作り手が込めた気持ちは必ず伝わると私は思っています。

 ケーキやお菓子は随分と身近な物になりましたが、やはり特別な食べ物だと言えますし、パティシエとしてはそうあるべき物にするためにも、美味しいことはもちろん、ニーズやシチュエーションにぴったりと合わせた商品を作りたいところです。

 機械化が進む近代において、サービス業も変化して行きます。衛生的で効率的。人件費やロス率などを考えると、ほとんどがオートメーション化されるかもしれません。

 しかしパティシエのサービス力とは人が人を思って尽くすこと。まさに「真心」だと思います。

 皆さんはどの様な時にケーキを買いますか?

 ケーキ屋さんにケーキを買いに行く。このこと自体がすでに特別なことで、ケーキが入った箱を持ち帰り、その箱を開ける時、すごくわくわくしませんか?

 パティシエはお客様の特別な時に毎日のように携われる仕事です。お客様が生活の中で、どこかでケーキを結びつけ、お買い求めになるわけですから、だった1つのケーキでも、それは必ず何かストーリーの中にあるケーキだと言えます。パティシエのサービス精神とは、そのストーリーをより良い温かなものにするべきで、時代が進化する中で益々求められる技術であるべきなのです。

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プロフィール

x 学校法人 東京観光専門学校  カフェサービス学科 学科長 山本 佳成

学校法人 東京観光専門学校

カフェサービス学科 学科長 山本 佳成

【経歴】

桜美林大学国際学部卒業。フランス企業パティスリー部門にてキャリアをスタート。都内パティスリー勤務を経て、レコールバンタンにて製菓アシスタント講師、八王子うかい亭パティシエを勤め、現在は学校法人東京観光学校のカフェサービス学科にて、製菓、カフェフード、デザートの実習をはじめ、メニュー開発や店舗経営などの教育を行う。

【住所】

〒160-0843 東京都新宿区市谷田町3-21

【TEL/FAX】

03-3235-5713 / 03-3235-8226

【HP】

http://www.tit.ac.jp/


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