2017/07/26
近年、少子化などによる慢性的な人手不足で若い人の働き手が減っている中、今シニア層の採用が大きな注目を浴びています。以前から東急ハンズやローソンなど、小売業界でシニア採用が活発化しており、お店に行くと50代や60代の方が働いている姿も見かけることが増えましたね。
厚生労働省によると、全人口における65歳以上の高齢者の割合は2015年時点で26.7%、5年前の2010年から3.7%も増加しており、今でもその割合は増え続けています。シニア人口の増加とあわせて、昨年、厚生労働省がまとめた2016年版の「厚生労働白書」によると、60歳以上の男女の内、65歳を超えても働きたいと答えた割合は65.9%にものぼることが分かりました。国際的にも高齢者の就業率は60~64歳で74.3%、65歳以上でも29.3%と高い水準となっています。
60歳を過ぎても働く意欲の高いシニア層、その理由はどういったものでしょうか。最も多い理由はやはり「経済上の理由(自分と家族の生活を維持するため)」で68.1%、次に多いのが「生きがい、社会参加のため」で38.7%という結果となりました。
さらに高齢者の方が働くうえで重視しているのは、体力的に無理なく続けられること、自分のペースで進められるような仕事かどうかなど。そのため、自分の時間で働くことのできるパートタイムでの就業を希望する方が増えています。
働きたいシニアが増える一方、企業側も積極的にシニア採用を進めています。募集要項に「年齢不問」と記載されているものも多く、最近ではあえてシニアを採用するような動きも見えてきています。他の採用サイトと同じように、シニア採用向けのサイトを作成している企業も増えています。このように、企業がシニア採用を進めていくことで、どのようなメリットがあるのでしょう。
シニア層は若者に比べると、仕事に対する意識が強いため、勤務態度が良く遅刻や欠勤なども少ない。学生やフリーターなどと違って、辞めても他にも仕事あるし・・・とはいかない危機感なども強く感じているのでしょう。このように、自分の仕事に責任感を持ち、役割をしっかり果たしてくれるシニア層は今や即戦力として採用されています。
シニア採用を積極的に行っている小売店や飲食店は、学生やフリーターなどの若者も多く働いています。自分の子供や孫ほどの年齢の若者に比べ、人生経験が豊富なアクティブシニア層の経験や知識、仕事に対する姿勢は若いスタッフへ良い刺激を与えており、仕事やそれに伴う部分の研修を任されるなど教育面で非常に効果的となっています。
シニア層には、社会人経験や子育て経験など長年培った多くの経験があるため、子供から大人まで幅広い世代との接し方が身についている方が多いです。飲食店などの接客業では、お客様と従業員のコミュニケーションが必須となるため、実際に、シニア層が働くことで安心感やホッとする印象を受けることが多く、お客様からの満足度も高くなっているため店舗のイメージアップにもつながっています。
小売店だけでなく、飲食店もアクティブシニア採用を積極的に行う企業が増えてきました。キッチンやホールだけでなく、開店前の下準備だけの勤務や閉店後の掃除だけなど、生活スタイルに合わせて働くことができるよう柔軟に受け入れる体制を整えている企業も多くなっています。
ファーストフードチェーンは、飲食店の中でもシニア採用が活発な業態です。中でも「モスバーガー」は、以前からシニア採用に力を入れており様々なメディアで紹介もされています。2014年には60歳以上の高齢者スタッフを親しみこめて「モスジーバー」と呼び話題になりました。
ガストなどを全国展開する「すかいらーくグループ」は、シニア世代向けの採用ページを作成して積極的なシニア雇用を進めています。同社では、全国で50代や60代の方が約1万人働いているといいます。ライフステージや生活スタイルに合わせて時間帯も選べるため、アクティブシニアの方も生き生き働いています。
関東を中心に全国110店舗を展開する「七輪焼き肉 安安(あんあん)」も、人生経験豊富なアクティブシニア専用の採用ページを作り、積極採用を行っています。店舗だけでなく、加工センターやお店の施工管理など、職種も様々。飲食業に携わっていなかったとしても、かつて身に着けていた施工技術などを活かすことも可能となっています。
長野県で豚料理やからあげなどを中心に20店舗ほど運営している、株式会社クルークダイニングでも、採用サイトの中に「シニア採用」ページを設けて募集をしています。キッチンだけでなく、一般事務でも65歳以上を採用しているなど年齢にとらわれずアクティブシニアの方々が働きやすい環境になっています。
今後、高齢化が進む中で元気のあるアクティブシニアの方々の雇用は大きな鍵となってくるでしょう。実際に私が学生時代にアルバイトをしていた際も、同世代だけでなく母親や父親のような世代の方と色々な話をすることで得たものは、今でも大きな経験となっています。家族以外の大人と触れ合うことの少ない今の時代で、アルバイトを通じてシニア層と交流を持つことは、若い人にとって本当に良い経験になることだと感じます。これからも、アクティブシニアの方々が生き生きと働く姿を見ていきたいですね。
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