2017/03/03
最近、大企業の長時間労働について騒がれていますが、月何時間以上勤務したら長時間労働なのでしょうか?
Answer原則として労働時間は1日8時間、1週間で40時間が上限です。
これを、法定労働時間といいますが、長時間労働とは、法定労働時間を超えて働く時間(=時間外労働)が大幅に多いことを言います。
カレンダーの日数 | 計算式 | 法定労働時間 |
---|---|---|
31日 | 31日 ÷7日 ×40時間 | 177時間 |
30日 | 30日 ÷7日 ×40時間 | 171時間 |
28日 | 28日 ÷7日 ×40時間 | 160時間 |
労働時間には、労働基準法と労災保険法の2つの基準があります。
労働基準法では法定時間については第32条、時間外労働については「時間外労働に関する限度基準」という告示があります。
労災保険法では通達「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定基準について」(厚生労働省労働基準局長平成13年12月12日基発第1063号)に労働時間に関する明記がされています。
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時間外労働をするためには、会社と従業員の代表者との間で、「時間外労働・休日労働に関する協定書」を締結します。
この協定は労働基準法第36条が根拠になっているので36協定(サブロク協定)と呼ばれています。この36協定の時間外労働の限度時間は、1ヶ月45時間、1年間360時間です。
しかし、上記の限度時間には例外があります。
特別条項として特別な事情がある場合、1年のうち6回までは限度時間を超えることができる旨を協定すれば、1ヶ月45時間、年360時間を超えて勤務することも可能になるのです。
特別条項には限度時間がありませんので、1ヶ月100時間の時間外労働までできるように協定すれば、100時間の時間外労働も可能になります。
※特別条項とは…臨時的に限度時間以上の労働をしなくてはいけない特別の事情のことを言います。たとえば受注過多の納期や、大規模なリコール対応など、あくまで臨時的なものに限ります。
労災保険のなかで、過労死の認定基準の1つとして、1ヶ月の時間外労働が100時間、2か月から6か月の平均の時間外労働が80時間以上だと認定されます。
労働基準法は、例外が認められているため、長時間労働の判断基準としては、労災の過労死の基準で考えたほうがよいでしょう。
1ヶ月の時間外労働が100時間と言ってもピンときづらいかもしれませんが、カレンダーの日数が30日の場合、1週間で6日勤務、1日11時間以上働くと・・・
11時間×6日×(30日÷7日)=282時間
となり、法定労働時間(171時間)+100時間以上の労働時間になり、過労死の基準ラインを超えてしまいます。
2か月から6か月の平均の時間外労働が80時間以上で過労死の認定基準を超えますので、1ヶ月の総労働時間が170時間+80時間=250時間を超えるようであれば、長時間労働の1つの目安になるのではないでしょうか。
内定後に労働条件通知書の交付、または雇用契約書の締結されましたか?口頭での約束は後々トラブルになることも・・・詳しくはこちらの記事で紹介しています。↓↓
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飲食業では、営業時間が長いことや人不足により、長時間労働になりやすい業種の1つです。
最近大手企業では、24時間営業の廃止や、年中無休から定休日を設けるなど、営業時間を短縮し、長時間労働問題の解消を図る企業も増えてきました。
長時間労働の対策としては、1日の労働時間を減らすことも大事ですが、休日日数を増やすことにより、労働時間は格段に減らすことができます。
むやみに人を増やして対策するのではなく、従業員の一人一人の労働生産性を上げ、業務の効率化を図ることやパートアルバイトの戦力をあげることも必要になってくると思います。
きらめき社労士事務所 飲食業専門 人事労務アドバイザー