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2019/03/22

レシピが持つ本当の意味とは?/コラム連載Vol.6(山本 佳成氏)

レシピが持つ本当の意味とは?/コラム連載Vol6(山本 佳成氏)

調理をする際にまず必要なものといえばレシピですよね。皆さんはどのようにレシピを見ていますか? 今回は飲食店におけるレシピの持つ本当の意味合いについて考えます。

>>前回記事『人々と歩み、食卓を支え続けてきた小麦の魅力』はこちら

レシピが持つ意味

レシピが持つ意味

料理の作り方を詳しく示す『レシピ』は、フランス料理の世界では『ルセット』と言います。

フランス料理はオーギュスト・エスコフィエという料理人によって、それまでにあった料理を明確に細かく確立されました。エスコフィエの数ある功績のうちでも、料理人の社会的立場の確立と、ルセットの確立はまさに歴史的な出来事だと思います。

エスコフィエは提供する料理に美味しさはもちろん、「心身共に楽しんでほしい。」という想いを盛り込みました。したがって、「料理人の出す料理を食べていれば健康的である。」という考えから、料理人は医療関係者と同じように社会的な立場を持ちました。

しかし、その大きな責任を担うには一人ではなく、チームとして動くことが必要です。

役割分担を明確にし、各部門それぞれに責任者を立てて組織化し効率の良い調理を目指すと同時にそれぞれが適した技術の向上も目指せる環境を作りました。そして、厨房内で料理の共有するために必然的に生まれたものが『ルセット(レシピ)』です。誰が何をどれくらい使うのか、食材や調理道具、作業場所に至るまで、全員が共有できるように紙に細かく書き記し、まとめたのです。

これにより、どこでいつ誰が作っても同じ高いレベルの料理が作れるようになりました。これこそがまさに世界各国の外交儀礼の正餐として出される所以ではないでしょうか。

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フランス料理のメニューは何故、文章なのか

フランス料理のメニューを見る男女

また、フランス料理のメニューに食材や調理法、仕上げのイメージがそのまま書かれているのは印象的だと思います。

○オマール海老のロースト  アスパラとライムを添えて

○フォアグラのテリーヌ 洋梨のソース トリュフの香り

○岡山県産白桃のコンポート バニラとミントのグラニテを乗せて

このような気品高さを感じさせる独特のメニュー名の背景にも、実は「お客様からサービススタッフ、調理に携わる誰しもが説明でき、理解できるように」という気遣いが込められているのです。

エスコフィエは友人でホテル王のセザール・リッツと共にヨーロッパ各地に出店して行きました。フランス、ドイツ、イギリス、イタリア… 言語はもちろん、料理人の気質や技術、考え方も違うので、ルセットやメニューを統一して、組織で動くことの大切さを示さねばならなかったと考えられます。

つまりルセット(レシピ)やメニューに込められた意味とは、単純に使用する材料の量や料理の作り方、出来上がりのイメージだけが書かれているのではなく、調理における想いはもちろん、提供までに携わる者の責任やレストランの生命線を繋ぐ大切な指示書のようでもあるべきなのです。

美味しさの秘密を読み解く

美味しさの秘密を読み解く

少し具体的にパティシエのルセット(レシピ)から例をあげると、第3回の記事で書かせていただいたように、製菓にはある程度の基本的な材料とそれぞれの特性に伴う製法があるので、ルセット上の材料がそれぞれどのような状態で、何の役割をするかを読み取る必要があります。単純に「砂糖」と書かれていても、甘みをつけて味を引き出すためなのか、焼き色をつけるためなのか、その砂糖でカラメルを作ってから他の材料と合わせる場合もあるのです。

バターの場合、風味をつけるためなのか、まろやかでクリーミーな生地を作るためなのか、柔らかな状態で使うのか冷たい状態で使うのか、溶かして使うのか… など、確認の上で作らなければ、出来上がりは違うものになってしまいます。

そして何より美味しさの秘密がどこにあるのかを見極め、その仕組みを理解しなければいけません。ルセットから少しのズレが出れば、作り手も作る環境も違うなら、お客様に届く頃には大きなズレになってしまいます。

このズレが生じないようにすることは非常に難しいことで、毎日作れば作るほどに見え辛くなるのです。しかしそれを一人ではなく数人でお互いがルセットを理解し、確認し合うことで維持する必要があると思います。ホールスタッフはお客様の反応や売れ行きから見極め、確認することも非常に大切なことです。

もともとそのようにあるべきものの、どういう経緯か少し前まではレストランやパティスリーのルセットは門外不出が当たり前でした。または同じ厨房内でもあの人しか知らない秘密のルセットなんかはよくありました。私も、「どうにかしてあのルセットを知りたい」とあの手この手を考えたこともあります。

しかし、今の情報社会では調べればたくさん出てきますよね。実は門外不出のルセットとは材料の割合を知ったところで、特に意味は無いのです。なぜならば、そのルセットでどのようにチームが動くか。どのタイミングで何をするのか。何故美味しいのかという背景のストーリーこそが大切で、それが活きるのはその店だけであるからです。

これこそがレストランやカフェ、パティスリーやブーランジェリーのルセットが示す意味であり、楽しさなのではないでしょうか。

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プロフィール

学校法人 東京観光専門学校

カフェサービス学科 学科長 山本 佳成

【経歴】

桜美林大学国際学部卒業。フランス企業パティスリー部門にてキャリアをスタート。都内パティスリー勤務を経て、レコールバンタンにて製菓アシスタント講師、八王子うかい亭パティシエを勤め、現在は学校法人東京観光学校のカフェサービス学科にて、製菓、カフェフード、デザートの実習をはじめ、メニュー開発や店舗経営などの教育を行う。

【住所】

〒160-0843 東京都新宿区市谷田町3-21

【TEL/FAX】

03-3235-5713 / 03-3235-8226

【HP】

http://www.tit.ac.jp/

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