飲食特化型求人情報サイト食べるんだ
スキルアップ

2019/06/18

『食』と『人』から得た学び~1年間の取り組みを振り返って~/コラム連載Vol.7(山本 佳成氏)

東京観光専門学校教室

 初回の記事で「東京観光専門学校・カフェサービス学科」で学べる基本的な内容について紹介いたしましたが、今回は通常授業とは別に、学生達と昨年度行った様々な取り組みについて紹介したいと思います。学生達には、カフェサービスという大きな枠組みの中、基本的な技術をつけるのはもちろん、食べること自体を考え直し、飲食に関わる者がどのようなビジョンを持ち、何を伝えるべきかに気づけるような経験をしてもらいました。根底には、一人ひとりの個性を伸ばし、業界に送り出したいという想いがあります。行った取り組み全てに、この業界で働くうえで大切な事、学びのポイントがあるので、これからカフェサービスに関わりたいと思っている方は是非、参考にしていただければと思います。

>>初回記事『人気のカフェ業界で即戦力として活躍するために「東京観光専門学校・カフェサービス学科」で学べる事』はこちら

『うちのたまご』メニュー開発

『うちのたまご』メニュー開発
写真提供:JR九州

 メニュー開発に必要なことはコンセプトを理解し、ニーズに応えることだと思います。ただ好きなように食べたいものを作るのではなく、どのような方々に向け、どのような場面で召し上がっていただきたいかを踏まえたメニューから考え始める必要があります。

昨年より、JR九州のグループ会社である『JR九州ファーム』がつくる、安心・安全な養鶏場から生まれるブランドたまご「うちのたまご」を使ったメニューを考え、レシピにして毎月公式Facebookにて紹介していただいております。

もちろん『うちのたまご』をもっと多くの方々に知ってもらうことが一番の目的ですが、学生達がたまごの特性を調べて美味しい食べ方を考えたり、試作を繰り返す中で調理を楽しみながら知識と技術を吸収してもらいました。さらにそれが紹介してもらえたことは、自信や責任感につながるとても大きな学びとなったと思います。

また、若い発想から生まれたレシピは自由度が高く、応用が利くものばかりですので、ご覧になった方々へその楽しさも同時にお伝えできればと思いながら、提案させていただきました。今後はレシピブックを作成し、JR九州ファームが運営する『八百八の九ちゃん』に設置していただく予定です。

レシピブックをお手にとっていただくことは学生にとっても大きなやりがいとなります。都内にある、羽田空港内と赤坂BIZタワー内の「赤坂うまや うちのたまご直売所」では『うちのたまご』が購入でき、イートインスペースもありますので是非お立ち寄りください。

<学びのポイント>

 頭の中にあるイメージやアイデアを好き勝手に出すのは簡単ですが、それが尽きた後で全く進めなくなってしまうことがよくあります。エリアマーケティングのように、ターゲットがどのエリアにどのような生活をしていて、いつ必要とされるか考えることや、ペルソナという特定の人物像を生み出し、その人物をターゲットとして細かく設定して、その人がどんな物を欲しているかをイメージするマーケティング手法を取り入れることで、やるべきことが見えてきます。大きな進展ができなくても、次のステップに進み考えて取り組むことが何よりの学びへと繋がります。


えみのき保育園 食育イベント

えみのき保育園 食育イベント

 「食」を考え、発信することは飲食従事者にとって非常に大切なことです。毎日の作業の中で「誰かに食べてもらう」という意識が薄れてしまうと、手仕事も雑になったりやりがいを失ってしまいます。

また何故美味しいのかを作り手が理解することは、調理を進める上で味を大きく左右します。その反応が最も顕著である子供達へのプレゼンテーションと、お互いの学びを目指し、保育園のおやつの時間にお邪魔しました。

望ましい食生活の提案、食文化の継承、食の安全、そして体感すること。これを基本テーマに、全員が一緒に同じ物を食べられるよう、アレルギーフリーのメニューを考え、学生が祖母から教わった「かんころ餅」を食品衛生の面からもアレンジを加え、提供させていただきました。

紙芝居形式で楽しくわかりやすい説明をし、材料のサツマイモから餅状になった出来上がりの違いを手で触ってもらい、焼き上がった餅をみんなで食べるという、どちらかといえば大きな反応をしてくれる子供たちから学んだことの方が多かった印象ですが、とても貴重な時間となりました。

子供たちの憧れや期待を裏切らないこと、ほっとする空間を演出すること、そして生産者からの想いや、受け継いだ「食」を通じた愛情を届けること。そんな内面的なことこそが技術以前に重要で、教科書にも成分表にも書かれていません。現場の雰囲気から汲み取った経験、子供たちからいただいたエネルギーは、そのまま学生たちのエネルギーとなりました。

<学びのポイント>

 食品を扱う仕事に就くことの根本的な意味を理解するため、食育の要素を随所に入れています。誰しもが日々、食品に触れ、口にするということは、それだけ多くの労働力が必要な一方で、生活に密着するからこそ、高いホスピタリティの付加価値を求められます。食への興味は、栄養学や食品衛生への学びに繋がり、明日の体を作ることへの発想にまで広げ、お客様へ食を提供することの責任を深く考えることこそが、総合的な技術の底上げになります。


まちぐるみマルシェ

まちぐるみマルシェ

 カフェ運営はその地域の中でどのくらいの活力を発揮できるかが重要な鍵となります。そういった面では、コミュニティへの参加はよい経験を生み出します。コミュニティとは共同体を意味し、そこに集まる人が情報や知識を持ち寄り、深く結びつくことで、発展する集団を意味します。

コーヒーやケーキには人を呼び込む力があります。それを作る人や売る人の魅力次第で、その力は更に強くなることでしょう。その地域で人を集めて鼓動を生みだせる店づくりこそ、カフェの理想といえます。

神奈川県川崎市にある『ikuta まちぐるみ』はお子様連れのコミュニティ機能を持ったカフェを併設するシェアオフィスで、ワークショップやセミナーの開講など、ランチを食べながら情報交換ができる場です。そこで行われる「ママに嬉しいもの」を集めた「まちぐるみマルシェ」への出店をさせていただきました。

学生たちが学んだフランス伝統菓子をはじめ、低糖質スイーツやアレルギーフリーの焼き菓子、ライチとヨーグルトの美容に特化したドリンクや、複数のスパイスを組み合わせたドリンクなど、学生たちが考えたオリジナルの商品を販売いたしました。

この出店で培った経験は、メニュー立案から販売まで一貫した運営に於ける難しさと楽しさの他に、地域の人と人との輪が織りなす温かみや、生き生きとした空間を様々な個性で盛り上げるマルシェ特有の魅力発信など、店づくりを体現する大きなヒントを与えていただきました。

<学びのポイント>

 学校を代表して出店する校外イベントには、自分のこだわりを発揮してほしいと思っています。イベントや商品の大小に関わらず、こだわりを持ち、それを伝えることができるかできないか。これを繰り返すことが技術を上げ、発信する力になります。組み立てては片付け、また組み立てること。組み立てることは構築する力を養い、片付けることで、リセットし新しいイメージを持ってくる発想力を生み、また組み立てることで経験に基づく提案力のトレーニングになるのです。


>>カフェで学びながら働きたい!求人はこちら

卒業制作

 在学中に学んだ集大成となる卒業制作は、毎年恒例のものでは無く、何をどのように進めるか全て学生たちが考えます。昨年度の卒業制作はコーヒーに特化したものとなりました。

冬の世田谷オペラプレート

 サードウェーブの到来を経て、現在では非常に様々な産地のコーヒー豆が売られ、それぞれの魅力が簡単に楽しめるようになりました。そこで、コーヒーの魅力をもっと伝えるべく、下北沢にあるCafe&Dining Seven Colors にてデザートプレートを販売させていただきました。

冬の世田谷オペラプレート
写真提供:磯崎 舞

 ルワンダ産の浅煎り豆で抽出したエスプレッソを生地に染み込ませたオペラ、コロンビア産の中煎り豆を砕いてナッツと一緒に合わせたチョコレート、ブラジル産の深煎り豆を生地とクリームに使用したブッセ。これらをひと皿に盛り合わせたデザートプレートは、『冬の世田谷オペラプレート』と名付け12月の限定メニューに加えていただきました。

コンセプトの立案からPR、販売に至るまで全ての工程で、作り手とお客様以外の視点を持つため、スイーツプロデューサーとして活躍されている磯崎 舞さんと一緒に進めました。今までに学んだことをカタチにする卒業制作でありながら、「伝える」大切さを一緒に考え、どのイベントよりも多くのことを学ぶ制作となりました。

TOKANオリジナルブレンド

 バリスタの育成をする上でテイスティングは欠かせない知識ですが、難しいのは感じる味覚を説明するという単純ながら正確性が曖昧なところです。しかし、それこそがコーヒーの面白さであり魅力なのです。卒業制作ではオリジナルブレンドの開発、試飲会も行いました。

「香り」、「甘さを含んだ酸味」、「口に含んだ時の重さ(ボディ)」、「コク」、「飲み終えたあとの(余韻)」、今回はこの5つに意識を置いて、全体のバランスを考えたブレンドを目指しました。

産地の大まかな特徴をご紹介できるように、アフリカ、南米、アジアの豆を組み合わせ、最終的に出来上がった割合は、ケニア30%、エチオピア15%、ルワンダ15%、コロンビア15%、ブラジル10%、インドネシア(スマトラ)10%、インドネシア(ジャワ)5%でした。

 アフリカ豆の香りと酸味を中心に、南米のコクと苦味でバランスをとり、軽やかさと余韻はインドネシアの豆から取り揃えました。

TOKANオリジナルブレンド

 こちらのローストは台湾を代表する老舗ロースターである蜂大咖啡にご協力いただきました。

>>バリスタとして働きたい!求人はこちら!

挑戦から得る学び

 カフェサービス学科では、講師による一方通行の教育ではなく、学生が能動的に成長できる環境づくりを中心とし、たくさんの成功と失敗を経験してほしいと考えています。自らたくさんの道具や食材に触れていくことが技術をつけ、自ら人に歩み寄り、小さなことでも成し遂げることがチーム力を強くします。

目まぐるしく流行の移り変わる飲食業界の中へ旅立つ学生への教育は、たくさんの挑戦から学びを得ることに慣れさせることが大切だと思います。

調理も接客も「失敗しないように」と考えがちになってしまいます。実際の現場ではもちろん失敗は許されません。しかし失敗の中にこそ得るものがあり、楽しさと達成感との差から実感し気づくことが無ければ技術の進歩やこだわりの発揮には結びつけません。

何より若い発想と行動力で今後の飲食業を更に更に盛り上げていただきたいと願っています。

>>東京観光専門学校カフェサービス学科に興味がある方はこちら

>>カフェのお仕事を探してもらう(無料)

プロフィール

山本佳成

学校法人 東京観光専門学校

カフェサービス学科 学科長 山本 佳成

【経歴】

桜美林大学国際学部卒業。フランス企業パティスリー部門にてキャリアをスタート。都内パティスリー勤務を経て、レコールバンタンにて製菓アシスタント講師、八王子うかい亭パティシエを勤め、現在は学校法人東京観光学校のカフェサービス学科にて、製菓、カフェフード、デザートの実習をはじめ、メニュー開発や店舗経営などの教育を行う。

【住所】

〒160-0843 東京都新宿区市谷田町3-21

【TEL/FAX】

03-3235-5713 / 03-3235-8226

【HP】

http://www.tit.ac.jp/

関連コンテンツ

〈今日の食べるんだ!〉
求人数 2,915
新着

8