2018/03/28
飲食店の厨房で働くシェフや料理人になりたいと思った時に、実際の仕事内容がどういうものなのか気になるかと思います。飲食店のジャンルによっては、細かい役割分担が決まっており、さらに業界用語で呼ばれていることが多いので、初めてその場に入った人は戸惑うこともあるといいます。 今回は、和食とフレンチに焦点を当てて、厨房で働く人の役割についてや、スタート時の仕事内容からその後のステップアップなどをご紹介していきます!
では「和食」と「フレンチ」を例に、厨房での仕事はどのようなものがあるか、みていきましょう。
和食を提供する日本料理店などで働き始めた人は、厨房の中でも裏方の「追い回し」というポジションから始まることが多いです。この名前の由来は、一番下の見習いが色々な仕事に追い回されるように忙しいことから「追い回し」という名前がついたのだとか。
「追い回し」の段階では、まだお客様に提供する料理は触ることができません。職場で食べるまかない料理作りからスタートし、周りの厨房スタッフを見て仕事を覚えていくようになります。和食では大小様々なお皿を使うので、盛り付けのパターンも当然多くなるほか、膨大な量の洗い物をこなす必要があります。忙しい仕事の合間を縫って、いかに段取りよく仕事を進めればいいかを考えて、仕事に臨む必要があります。
こうして「追い回し」の時に経験を積むことで、揚げ物や焼き物担当など、徐々に任せられる仕事が増え、色々な料理を手がけることができるようになります。
フレンチレストランなどでは、新しく働き始めたスタッフを、フランス語で“見習い”という意味の「アプランティ」と呼びます。「アプランティ」の仕事は、調理器具の洗浄や厨房の掃除、開店・閉店準備など幅広い雑務をこなしていきます。
朝は早くから出勤して、厨房内の掃除や器具のセッティング、各担当が円滑に料理をできるよう各種準備を済ませておきます。閉店後は、先輩シェフが帰った後に掃除をしたり、明日の準備や皿洗いなどを行ったりします。
フランス料理は、コース料理として提供することが多いぶん、洗い物も多く出ます。フランス料理には欠かせない、バターや生クリームを使った料理の皿は汚れが落ちにくく、最初は苦労するかもしれません。修行期間は一般的に4年ほどとされており、その後は実力に応じて各セクションに配属されるようになります。
和食は「追い回し」から、フレンチは「アプランティ」から厨房勤めが始まります。ではその後は、どのようにキャリアアップしていくのでしょうか。
店全体の雑務を担うことによって、日々の仕事の流れ事や、各ポジションの仕事の仕方などを学んでいきます。
各担当料理人が作った料理の盛り付けを行います。料理に合わせて、皿と食材を組み合わせたり、季節に応じた組み合わせ方もあったりと、今後料理を作っていくうえでのセンスを磨いていきます。
ここからお客様に提供する料理を、作れるようになります。揚げ場では、主に天ぷらなどの揚げ物を担当します。
焼き魚や田楽など、焼き物全般を担当します。焼き方からうえに上がれるかが、料理人としての腕前の分かれ道と言われるほど、スキルを磨く重要なポジションと言えます。
煮物などの料理全般を対応します。味付けや煮込み時間など、繊細な対応が求められ、寝かせ過ぎてボケた味にならないように注意しながら作業する必要があります。
椀物、つまりお吸い物などの汁物を担当するポジションであり、お店の味とも言える「だし汁」の準備を担当する役割でもあります。日本料理は、多くの料理に「だし汁」が使われており、その味がお店の味を左右するぐらい重要なポジションです。
別名・二番板とも呼ばれ、料理長である花板の補佐、及び料理全体の味付けを担当します。カウンター形式で調理するお店では、お客さまと対応しながら、料理をすることもあります。
和食で最も難しいと言われる、刺身の担当です。花板は、まな板の前で仕事をすることから「板前」とも呼ばれる、厨房の責任者です。
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調理人見習いとして、清掃などの雑事全般を請け負います。厨房で飛び交う専門用語や、調理方法、料理の名前などもここで覚えていきます。
各料理担当シェフの下について働く料理人のことです。ソースの準備やスープの調理など、基本の作業から始めて、徐々にスキルアップして仕事を覚えていきます。
暖かい料理や魚料理など、各部門の料理人をまとめる部門料理長と呼ばれるポジションです。それぞれの担当と連携して、コース料理を組み立てます。細かい部門担当者は、以下のように分けられます。
日本語で言うところの、副料理長のポジションにあたります。料理長をサポートし、各担当シェフたちへの指示出しなどを行います。料理長不在時などは、代理を務めることもあります。
総料理長として、厨房内の料理人たちを統括する最高責任者になります。食材の仕入れやメニューの考案などを行い、オーナーシェフとなれば従業員管理から、経営にも関わってきます。
参考:フレンチシェフになるためには?修行は必要?あの有名シェフの経歴もチェック!
経験のない状態で、レストランや料亭で働くとなると、下働きから始まるお店が多いです。見習いの仕事は、皿洗いから器具の清掃、先輩達が来る前に厨房内のセッティング、食材運びや下ごしらえなど、立ち仕事かつ厨房内を動き回るため、体力勝負の仕事と言えます。
レストランや料亭などで使われる食器の中には、食洗機に対応していない材質のものも多く、洗浄力の強い洗剤で、一日に大量の洗い物をすることもあります。水を触っている時間も長いので、手のひび割れやあかぎれになる場合も。
入りたての時は朝早くから出勤して、先輩料理人たちが来る前から厨房に入り、閉店後も遅くまで掃除や自身の勉強を行うことがあるため、プライベートな時間というのは少なくなってしまいます。
忘年会や新年会など、宴会が多く開催される12月〜1月、GWや夏休みなどの長期休暇で観光客が増える時期など、繁忙期を迎えることがあります。人気のお店であれば、予約で埋まりお客さまの入れ替わりも忙しくなってきます。普段よりも仕事量は多くなるため、従業員もなかなか休みづらい環境となることがあります。
厨房で働く料理人にも、さまざまな役割がありますね。和食であっても、昔ながらの呼び方になっていたり、フレンチのように外国の料理を扱うお店であれば、その国の言葉で呼び合ったりする事が多くなります。
一口にキッチンスタッフといっても、その中でのポジションは細分化されており、1つ1つ経験を積みながら、花板やシェフ・ド・キュイジーヌを目指して行きます。もちろん全てを経験するのではなく、パティシエなどのように専門職として技術を磨くという人もいるので、あなたにあった目標を立てていくとよいでしょう。